玉雲堂のかぶせ茶

日本茶の文化的価値

2025年、日本茶の小売商から見る”日本茶業界の変化と背景”をお伝えします。

【ペットペットボトル需要の拡大】
1990年代以降、緑茶のペットボトル飲料が急速に普及してまいりました。いまでは茶葉の7割近くが「リーフ(急須用)」ではなく「ペットボトル向け」に使われるようになっています。茶農家はペットボトルメーカーと直接契約する動きが増え、安定収入につながる一方で、大口取引に依存するリスクも出てきております。

【抹茶需要の急増】
海外の「抹茶ブーム」(カフェ、スイーツ、健康志向)で、碾茶(抹茶原料)の需要が急拡大しております。碾茶の生産は手間がかかり、覆下栽培が必須です。生産地は宇治、愛知、西尾、鹿児島など限られており、供給が追いつかない状況であります。その結果、抹茶用の茶葉価格が上昇し、国内の製菓・飲料メーカーが確保に苦労しています。

【リーフ茶(急須で淹れる茶)の需要減少】
家庭で急須を使う習慣が薄れ、リーフ茶の需要は年々減少。総務省の統計では急須を持たない世帯が8割にも及んでおります。高級茶やギフト用を除けば市場縮小が続き、茶小売店の廃業も相次いでいます。

【茶葉不足の現実】
2,025年度になりペットボトル業界に新たにアイリスオーヤマが参戦してまいりました。海外の抹茶需要の高まりも重なって、ペットボトル用と抹茶用に茶葉が集中し、リーフ用茶葉が不足がしはじめ、また、気候変動の影響で品質の不安定化や収量変動が起きており、「お茶不足」がさらに深刻化しております。

【今後の対応の方向性】
抹茶スイーツ、クラフトボトル茶、オーガニック茶など高付加価値化が求められてくるでしょう。また、海外市場への輸出強化など多様な販路が求められてきます。摘採の機械化、AIによる生育管理、品種改良(高温に強い茶樹、抹茶向け品種)など 生産面の工夫も必要不可欠です。そして私たち小売店にとってはなんといっても、お茶を「点てる」「淹れる」行為をエンターテイメントとして発信し、文化的価値として再認識してもらうことが大切だと思っております。

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